日本の「タックスヘイブン対策税制」の対象になりませんか?

ドバイに法人を設立しても、その法人が日本のタックスヘイブン対策税制(CFC税制)における「ペーパーカンパニー」と見なされた場合、その法人の所得が日本の親会社や株主個人の所得と合算して課税される可能性があります。

この税制の適用を回避するには、ドバイ法人が「事業実体基準」(主たる事業を営むに必要と認められる事務所等の固定施設を有し、その所在地国においてその事業の管理、支配及び運営を自ら行っていること)を満たすことが重要です。

弊社では、税務の専門家と連携し、お客様がこのリスクを回避できるよう、事業実態の構築に関するアドバイスも提供しております。安易な節税目的だけでなく、コンプライアンスを遵守したグローバル展開をサポートすることが弊社のポリシーです。

フリーゾーン法人が法人税0%の対象となる「適格所得」とは、具体的にどのような所得を指すのでしょうか?

簡潔に言うと、「適格所得」とは、フリーゾーン法人がその立地や機能を活かして得た特定の所得を指します。具体的には、

特定の「適格な活動」から得た所得(例:物流、本社機能、持株会社の活動など) などが該当します。一方で、UAEメインランドの顧客への販売から得た所得の多くは、標準の9%課税の対象となる可能性があります。この判断は非常に複雑なため、お客様の事業モデルを詳しくお伺いした上で、税務専門家と連携して最適なスキームをご提案いたします。

UAE国外の顧客との取引から得た所得

他のフリーゾーン内の法人との取引から得た所得

暗号資産(仮想通貨)関連のビジネスライセンスを取得することは可能ですか?

はい、可能です。ドバイはWeb3.0やブロックチェーン技術のハブとなることを目指しており、暗号資産ビジネスに関する法整備が進んでいます。ドバイ本土ではVARA (Virtual Assets Regulatory Authority) という専門の規制当局がライセンスを発行しています。また、フリーゾーンではDMCC Crypto Centreなどが有名です。ただし、投資家保護やマネーロンダリング対策のため規制は非常に厳格で、ライセンス取得には詳細な事業計画、強固なコンプライアンス体制、十分な資本金が求められ、ハードルは高いのが実情です。

会社の「会計監査」は、すべての法人で必須なのでしょうか?

法人税法の導入により、事実上、すべての法人が会計監査を受けることが推奨されます。法律上は「監査済みの財務諸表を保管する義務」が課されており、税務申告の際にその提出を求められる可能性があるためです。特に、メインランド法人やDMCC、JAFZAなどの主要なフリーゾーンでは、ライセンス更新時に監査報告書の提出が義務付けられています。コンプライアンス遵守と透明性の観点から、設立初年度から正規の会計監査を受ける体制を整えるべきです。

 「カンパニースタンプ(法人印)」とは何ですか?日本の印鑑と同じようなものですか?

はい、日本の「会社実印」に相当する、非常に重要なものです。ゴム製のスタンプで、会社名やライセンス番号が記載されています。銀行での各種手続き、契約書、政府関連書類、オフィスの賃貸契約、従業員の雇用契約書など、会社としての公式な意思決定を示すあらゆる重要書類に捺印が求められます。紛失しないよう、厳重に管理する必要があります。

日本の親会社や個人が、ドバイ法人に運転資金を貸し付けることは税務上問題ありませんか?

貸付自体は可能ですが、日本の税務リスクに注意が必要です。特に親子会社間での貸付の場合、「移転価格税制」の対象となる可能性があります。これは、国外の関連会社との取引価格(この場合は貸付金利)が、第三者と取引した場合の価格(独立企業間価格)と異なる場合に、その差額を日本の親会社の所得として課税する制度です。 金利をゼロや市場金利より著しく低く設定すると、日本側で「本来受け取るべき利息を受け取っていない」と見なされ、課税されるリスクがあります。ドバイ法人へ貸付を行う際は、必ず日本の税理士とも相談し、適切な金利設定と契約書の作成を行うことが不可欠です。

最近よく聞く「UBO登録」とは、具体的にどのような手続きですか?

UBOとは「Ultimate Beneficial Owner(実質的支配者)」の略です。これは、マネーロンダリングやテロ資金供与を防止する国際的な要請に基づき、法人の最終的な所有者や支配権を持つ個人を特定し、当局に登録する制度です。ドバイのすべての法人は、自社のUBOが誰であるかを特定し、その情報を記録した台帳(UBO Register)を作成・保管し、当局に提出する義務があります。法人の透明性を証明するための非常に重要なコンプライアンス要件であり、怠ると高額な罰金が科される可能性があります。

法人税導入後、「経済実体規則(ESR)」はもう気にしなくてもよいのでしょうか?

いいえ、依然として重要です。経済実体規則(Economic Substance Regulations, ESR)は、法人がUAE国内で実質的な経済活動を行っていることを証明するための規則です。法人税法とESRは互いに関連し合っています。例えば、フリーゾーン法人が法人税0%の恩恵を受けるためには、UAE国内で十分な「実体(Substance)」、つまり従業員やオフィス、支出があることを証明する必要があります。これはESRの考え方と通底しています。単にペーパーカンパニーを作るだけでは税務メリットは享受できない、というUAE政府の強い姿勢の表れであり、ESRの要件を意識した事業運営は今後も必須です。

ドバイの裁判制度はどのようになっていますか?万が一、取引先とトラブルになった場合が心配です。

ドバイの法制度は、大陸法をベースにしつつ、イスラム法(シャリーア)の影響も受けています。公用語はアラビア語であり、裁判もアラビア語で行われます。そのため、日本人にとってはハードルが高いのが実情です。 このリスクを回避するため、多くの国際的なビジネス契約では、紛争解決の手段として「DIFC-LCIA仲裁センター」などの国際仲裁機関を指定することが一般的です。仲裁は英語で行われ、国際的な商慣習に精通した仲裁人が判断を下すため、より中立的で迅速な解決が期待できます。契約書を作成する際は、この紛争解決条項を必ず確認してください。

ドバイで取得した利益を、日本にある別会社への「投資」という形で送金することは可能ですか?

はい、可能です。しかし、その場合、日本の「タックスヘイブン対策税制」が関係してくる可能性があります。ドバイ法人が日本の関連会社(実質的な支配関係にある会社)に投資した場合、その投資が実態のない迂回取引と見なされると、ドバイ法人の所得が日本の株主の所得とみなされ課税されるリスクがあります。投資の合理性や事業上の必要性を明確に説明できる資料(投資計画書、取締役会議事録など)を整備しておくことが極めて重要です。税務当局から疑念を抱かれないよう、クリーンな資金の流れを意識する必要があります。

ドバイ法人の銀行口座で、米ドル(USD)建ての口座をメインにすることは可能ですか?

はい、可能です。UAEディルハム(AED)は米ドルにペッグ(固定相場制)しているため、多くの銀行でAED口座と同時にUSD口座を開設することが一般的です。特に、輸出入ビジネスなど、米ドルでの決済が中心となる事業の場合、USD口座をメインで活用することは非常に合理的です。これにより、AEDとUSD間の両替時に発生する為替手数料を削減できます。ただし、法人税やVATの納税、従業員給与の支払いは原則としてAED建てで行う必要があるため、AED口座も必ず保持し、適切に管理する必要があります。

 「フリーゾーン法人からメインランドの顧客にサービスを提供したい」場合、何か方法はありますか?

原則としてフリーゾーン法人はUAE本土(メインランド)での直接的な事業活動は制限されますが、いくつかの合法的な方法が存在します。

メインランドに支店を設立する: フリーゾーン法人を親会社として、メインランドに支店(Branch)を設立する方法です。 どの方法が最適かは、事業規模やコスト、コンプライアンス要件によって異なりますので、専門的な検討が必要です。

メインランドの代理店(Distributor/Agent)を立てる: メインランドで正規のライセンスを持つ会社と代理店契約を結び、その会社を通じて商品やサービスを販売する方法です。

デュアルライセンスの取得: 一部のフリーゾーンでは、メインランド当局(DET)と提携し、追加料金を支払うことでメインランドでも活動できる「デュアルライセンス」を提供しています。

ドバイでは知的財産(商標や特許)はどのように保護されますか?

UAEは世界知的所有権機関(WIPO)に加盟しており、知的財産権の保護に関する法制度が整備されています。

  • 商標登録: UAE経済省に商標を出願・登録することで、UAE国内での権利が保護されます。GCC(湾岸協力会議)全体での保護を希望する場合は、各国で個別に手続きが必要です。
  • 特許: UAE国内で有効な特許を取得できます。国際的な保護を目指す場合は、特許協力条約(PCT)を通じた出願も可能です。 ブランドや技術を模倣から守るためには、会社設立と並行して、早期にこれらの知的財産権の登録手続きを進めることが極めて重要です。

 「Attestation(認証)」という手続きが頻繁に必要になると聞きましたが、これは何ですか?

Attestationとは、ある国で発行された公文書(例:日本の会社の登記簿謄本、大学の卒業証明書など)を、別の国(この場合はUAE)の政府機関で正式な書類として認めてもらうための「領事認証」手続きです。一般的に【日本の公証役場 → 法務局 → 外務省 → 在日UAE大使館 → UAE外務省】という複数のステップを踏む必要があり、非常に時間と手間がかかります。この手続きは、株主が法人の場合の会社設立時や、特定の専門職のビザ申請時などに必要となります。

ドバイの住所を使って、日本の非居住者証明を取得することはできますか?

はい、理論上は可能です。日本の所得税法上の「非居住者」と判定されるためには、「国内に住所を有せず、かつ、現在まで引き続いて一年以上居所を有しない個人」という要件を満たす必要があります。ドバイの居住ビザを取得し、実際に生活の拠点をドバイに移し、賃貸契約書や公共料金の請求書などでその事実を証明できれば、日本の税務署に対して非居住者であると主張することができます。ただし、日本に実家がある、頻繁に帰国しているなどの事情があると「生活の本拠は依然として日本にある」と判断されるリスクもありますので、まずは弊社へご相談ください。この判定は個別の事実関係に基づき総合的に行われるため、必ず日本の税理士にご相談ください。

会社設立後、当局から抜き打ちの査察や監査が入ることはありますか?

はい、あります。特に、経済実体規則(ESR)やUBO登録、VAT、労働関連の法令遵守を確認するため、フリーゾーン当局や経済省、税務当局などが事前の通知なくオフィスを訪問することがあります。その際に、従業員のビザが適切か、会計帳簿が整備されているか、ライセンス通りの事業活動を行っているかなどをチェックされます。常にコンプライアンスを遵守したクリーンな状態を保っておくことが、事業継続のリスク管理において非常に重要です。

UAEの相続法はイスラム法(シャリーア)が適用されると聞きました。個人資産の管理で注意すべきことはありますか?

非常に重要なポイントです。イスラム教徒でない外国人の場合でも、遺言書(Will)がない場合、UAE国内の資産(不動産、銀行預金、会社の株式など)の相続にはイスラム法が適用される可能性があり、遺産が本人の意図しない形で分割されるリスクがあります。このリスクを回避するため、ドバイに資産を持つ外国人は、DIFC Wills Service Centreなどの機関で、国際的な基準に準拠した正式な遺言書を作成しておくことが強く推奨されます。これにより、自身の希望通りの相続を実現できます。

会社の書類を電子署名(デジタルサイン)で締結することは、法的に有効ですか?

UAEでは電子取引法が整備されており、電子署名も法的な効力を持つと認められています。特に、新型コロナウイルスの影響以降、政府手続きや民間取引での活用が急速に進みました。ただし、すべての書類が対象となるわけではなく、不動産登記や一部の公証が必要な書類など、依然として手書きの署名が求められるケースもあります。取引の重要性に応じて、どのレベルの電子署名(単純な電子署名か、認証局が発行する高度なデジタル署名か)を使用すべきか、判断が必要です。

法人税法における「スモールビジネスリリーフ(小規模事業者向け救済措置)」とは何ですか?これを利用すれば申告は不要になりますか?

「スモールビジネスリリーフ」は、特定の条件を満たす小規模事業者(居住者)が、法人税の申告手続きを簡素化できる制度です。主な条件は、該当する課税期間およびそれ以前の課税期間における収益(Revenue)が300万ディルハム(約1億2000万円)以下であることです。この制度を選択すると、その期間の課税所得はゼロと見なされ、納税義務は発生しません。 しかし、これは「申告不要」を意味しません。 制度の適用を受けるためには、税務当局に対してその選択を行う旨を届け出る必要があります。また、会計帳簿や記録の保持義務は免除されません。あくまで手続きを簡素化する救済措置であり、基本的なコンプライアンス義務は残る点に注意が必要です。

「Economic Group(経済的グループ)」として法人税の連結納税を選択するメリット・デメリットは何ですか?

UAEの法人税法では、一定の要件(親会社がUAE居住法人で、子会社の議決権と純資産の95%以上を直接または間接に保有など)を満たす場合、複数の法人を一つの「経済的グループ」として扱い、連結で納税申告を行うことが可能です。

デメリット: グループ内のすべての法人が連帯して納税義務を負います。また、一度選択すると最低12ヶ月間は継続する必要があり、会計処理や管理が複雑になります。複数の法人をUAEに設立する計画がある場合、非常に有効な選択肢となり得ます。

メリット: グループ内の一社で生じた損失を、他の会社の利益と相殺できます。これにより、グループ全体の納税額を最適化することが可能です。また、グループ内の取引は申告上相殺消去されます。

ドバイ法人が日本法人にコンサルティングサービスを提供する場合、日本の消費税はどのように扱われますか?

これは日本の消費税法の「役務の提供に係る内外判定」の問題です。コンサルティングのような役務提供の場合、**「役務の提供が行われた場所」**で内外判定を行います。ドバイ法人がドバイで行うコンサルティング活動(調査、分析、資料作成など)に基づいて日本法人にサービスを提供する場合、それは「国外取引」と見なされ、**日本の消費税の課税対象外(不課税取引)**となります。したがって、日本法人はその対価に対して仕入税額控除を行うことはできません。このスキームは、日本の親会社がグループ全体のコストを最適化する上で検討されることがあります。

会社のライセンス更新を怠った場合、どのようなペナルティが科せられますか?

ライセンスの更新遅延には厳しいペナルティが科されます。

ブラックリスト登録: 悪質な場合、会社のオーナーや役員がブラックリストに登録され、将来的にUAEで新たな会社を設立したり、ビザを取得したりすることが困難になる可能性があります。ライセンス管理は事業継続の生命線です。

金銭的ペナルティ: まず、更新期限を過ぎると、月単位または日割りで遅延罰加算金が課せられます。これは累積していくため、放置すると高額になります。

ビザの更新不可: 会社のライセンスが失効していると、その会社がスポンサーとなっている全ての従業員およびその家族の居住ビザが更新できなくなります。

銀行口座の凍結: 当局は銀行に通知し、法人口座を凍結する権限を持っています。これにより、事業活動が完全に停止します。

「オフショア法人(IC/IBC)」と「フリーゾーン法人」は、具体的に何が違うのですか?

両者は似て非なるものです。

オフショア法人 (IC/IBC): JAFZAやRAKEZなどの特定の登記所(レジストリ)にのみ登録される**「非居住法人」**です。UAE国内での事業活動は一切許可されず、居住ビザも発給されません。主に、国際的な資産保有、持株会社、知的財産権管理などの目的で利用されます。法人税法上は「非居住者」として扱われ、課税対象はUAE国内源泉所得に限定されます。用途と目的が全く異なる法人形態です。

フリーゾーン法人: UAE国内の特定の物理的なエリア(フリーゾーン)に登記され、**UAE国内で事業を行うための「居住法人」**です。居住ビザの発給が可能で、オフィスを構え、従業員を雇用できます。法人税法上も「居住者」として扱われます。

フリーゾーン法人間のM&A(合併・買収)は可能ですか?その際の手続きは?

はい、可能です。ただし、手続きはフリーゾーンの規則に準拠する必要があり、複雑です。一般的な流れとして、①両社の株主総会での合併承認、②合併契約書の作成と署名、③存続会社または新設会社のフリーゾーン当局への承認申請、④被合併会社の資産・負債の移転、⑤被合併会社のライセンスのキャンセルと清算手続き、などが必要です。特に、異なるフリーゾーンに属する法人同士の合併は、各ゾーンの規則が絡み合うため、高度な専門知識と調整能力が求められます。

UAEの「データ保護法(PDPL)」で、日本企業が特に注意すべき点は何ですか?

2022年に施行されたこの法律は、EUのGDPRに類似した個人データ保護法制です。日本企業が注意すべき点は、

データ保護責任者(DPO): 大量の個人データを扱う場合、DPOの任命が必要になることがあります。 ウェブサイトのプライバシーポリシーや社内規定を、この法律に準拠させる必要があります。

域外適用: UAE国内の個人データを処理する場合、たとえ会社が日本にあってもこの法律が適用される可能性があります(例:日本のサーバーでドバイの顧客リストを管理する場合)。

データ越境移転の制限: 個人データをUAE国外(日本など)に移転するには、移転先の国が十分なデータ保護水準にあると認められるか、あるいは本人の明確な同意を得るなど、特定の条件を満たす必要があります。

ドバイの不動産を法人名義で購入する際のメリットと、個人名義との違いは何ですか?

  • 法人名義のメリット:
    • 相続対策: 個人の死による資産凍結やシャリーア法適用のリスクを回避できます。法人は存続するため、株式の相続という形でスムーズな資産承継が可能です。
    • プライバシー保護: 不動産の所有者として法人名が登記されるため、個人のプライバシーが保護されます。
    • 資産管理の容易さ: 複数の物件を一つの法人で管理することで、経理や管理を一元化できます。
  • 個人名義との違い:
    • コスト: 法人設立・維持費用が別途かかります。
    • ローン: 個人に比べて法人での住宅ローンは審査が厳しく、利用できない場合があります。
    • 手続き: 売買手続きが個人よりも複雑になることがあります。 資産保護と相続を最優先する富裕層は、法人名義での購入を選択する傾向が強いです。

イスラム金融における「スクーク(イスラム債)」や「ムラバハ(商品売買金融)」とは、ビジネスで関わる可能性はありますか?

大規模なプロジェクトファイナンスや資金調達を現地で行う場合、関わる可能性は十分にあります。

  • スクーク: 利子の受け取りを禁じるイスラムの教えに基づき、特定の資産や事業から生じる収益を受け取る権利を証券化したものです。事実上の「イスラム版債券」で、インフラプロジェクトなどで発行されます。
  • ムラバハ: 銀行が顧客の代わりに商品(原材料など)を購入し、それに一定の利益(マークアップ)を上乗せして顧客に転売(分割払い)する取引形態です。「イスラム版の融資」として、運転資金や設備投資の調達に利用されます。 これらは通常の金融とは異なる概念ですが、中東でのビジネスを深く理解する上で知っておくと役立つ知識です。

ドバイから完全撤退する際の「最終監査(Final Audit)」では、特に何が厳しくチェックされますか?

会社清算時の最終監査は、当局が「この会社がUAEに一切の負債や未解決の問題を残さず、クリーンな状態で消滅すること」を保証するためのものです。特に厳しくチェックされるのは、

  • すべての債権者への支払い: 仕入先、家主、コンサルタントなど、あらゆる取引先への支払いが完了しているか。
  • 従業員への支払い: 最終給与および退職金(Gratuity)が、労働法に則って正確に計算され、支払われているか。
  • 政府機関への支払い: 税金(VAT、法人税)、各種手数料、罰金などに未払いがないか。
  • 銀行からの証明書: 法人口座を閉鎖し、銀行から「No Liability Certificate(無負債証明書)」を取得しているか。 これらのいずれかに不備があると、清算手続きは完了できず、代表者はUAEを出国できない可能性すらあります。撤退は設立以上に慎重な計画が必要です。